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六命の日記とかを置いていく気がするます。
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小さな頃から疑問に思っていた。
 何故、私だけ羽根が小さいのだろう。
 何故、私だけ肌の色が違うのだろう。
 何故、私にはお父さんとお母さんがいないのだろう。



 - プロローグ 旅立ちの朝 -



 外はまだ薄暗い。
 音を立てないようにゆっくりベッドから起き上がる。隣の部屋でこちこちと時計が音を響かせていて、少し緊張する。
 ベッドから床へ足を下ろす。ゆっくり、ゆっくり。おじさんとおばさんを起こさないように。ベッドがみしみしと音を立てないように。
 荷物はこっそりベッドの下に隠しておいた。習いたての魔法の教本とお気に入りのリボン。それと、小さな鞄に詰め込んだ精一杯の冒険道具。
 昔読んだ冒険小説にはたくさんの不思議な魔法の道具がでてきたけれど、私の鞄にはそんな便利な魔法の道具は入っていない。
 暗闇を照らすランタンや、寒い夜を明かすためのテントもない。だけど、かまわない。
 羽根ペンとか、羊皮紙とか、はさみとか定規とか、とにかくなにかに役に立ちそうなそんな気がするものを詰め込んだ鞄を抱えて、私はゆっくりと足を踏み出す。
 大丈夫。うまくいくよ。
 靴下が私の足音を隠す。おじさんとおばさんの寝室の前を通って、ゆっくりと、慎重に玄関へと向かう。
 大丈夫、まだ誰も起きてない。靴を履いて後ろを振り返る。住み慣れた家の、寝静まった姿を目に焼き付ける。
 胸の鼓動が、とくん、とくんと響いている。
 ごめんなさいおばさん、ごめんなさいおじさん。ニーネは自分を探しにいきます。
 手紙はちゃんと机の上においてあります。学校の先生にも、ごめんなさいと伝えてください。
 静寂を背に、扉に手をかける。ドアノブを捻ると、外の冷たい空気がはいってきた。
 ゆっくりと扉を開き、足を踏み出す。
 そうしてそのまま、後ろを振り向かずに歩き出す。
 ここから始まるんだ。
 セルフォリーフ。お父さんの生まれた世界。
 そして、お母さんが死んだ世界。
 きっとそこに、答えがある。
 私がどうやって生まれて、なぜおじさんとおばさんに育てられたのか。どうして私だけ他の子たちと違うのか。
 おじさんとおばさんが話してくれない答えが、きっと、そこにある。
 外はまだ寒い。でも、私の心は暖かい熱を宿している。
 さぁ、いこう。私のルーツを探しに。
 小さな鞄と希望だけを抱えて、私は分割世界へ向けて足を踏み出した。

 


 ……うん。ここまでは完璧だったんだけどなぁ。

 今、私は幼馴染のアルフと、案内人のマイスさんと一緒にセルフォリーフの大地に立っている。
 なんでアルフがついてきちゃってるの、とか、マイスさんとの出会いなんかはまた後で話そうと思う。
 マイスさんって、ほら、みためがアレだから、最初びっくりしたんだよね。
 喋ったら喋ったでまたびっくりさせられるけど、うん、それはまた、今度。
 今大事なのは、今この瞬間、私がここに立っていること。
 私の物語が動き出しているということ。
 ゆっくり、ゆっくりと歩いていこう。
 この先、歩んでいく道の先に、きっと私のルーツがあるはずだから。
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